08 神様のメモ帳

神様のメモ帳 (電撃文庫)

神様のメモ帳 (電撃文庫)

 つい、うっかり、といくら言い訳を並べてみても、泣いてしまったのは事実。ライトノベルで泣くなんて、と笑う人も居るかもしれないが、それは全くの偏見である。ライトノベルを侮るなかれ。
 そもそもこの物語はライトノベルに分類されるのだろうか。確かに文体や登場人物は「ライト」そのものだ。だが、物語の核にあるものは決して「ライト」ではない。ずっしりと重い現代社会の問題提起が根底に潜んでいる、ような気もする。その中で最も重要なキーワードとして、ニートが挙げられるだろう。
 この物語には様々なニートが登場する。皆それぞれの言い分を持って、ニートであることに誇りを持って生きている。というより、ニートであることを何とも思っていない。むしろ楽しんでいる節さえある。彼らに言わせれば、ニートとは生き様のことだそうだ。自分の生き様には自信を持ち、誇りを持つ。つまりニートであることは何ら恥じることではない、という考えだ。そんな彼らを素敵だなと思ってしまっている自分はニートの素質があるのだろうか、と考えずにはいられない。
 アニメ化も決定しているようなので、そちらもチェックしてみたい。そして現在六巻まで刊行されているので、是非続きの物語も読んでみたい。果たしてこのニートたちがどんな物語を繰り広げるのか、非常に楽しみである。