16 ヴィヨンの妻
- 作者: 太宰治
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1950/12/22
- メディア: 文庫
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わたしはこの一冊の中に散りばめられた物語を読んで、それほど逼迫した死の気配を感じられなかった。むしろ生きていく為に頑張ろうともがいて足掻いている、そのどうにもならなさが読んで取れた。身体が傾いて生きているような感覚。まともじゃない、平常ではない、ということだけれども、そんな感覚に陥った。
駄目亭主にさんざん振り回されながらも、それでも文句も言わず家庭を守ることに全てを尽くす。そんな女性を太宰は求めていたのだろうか。わたしもそんな人が連れ合いなら良いな、と思ってみたが、そんなんじゃ好き勝手にしてばかりで堕落していく一方だな、と思い直し、やはり自分できちんと立っていられることが重要なのだろう、と再確認して明日へと向かう。