19 変身

変身 (講談社文庫)

変身 (講談社文庫)

 脳死は人の死なのか。脳だけに限らず、脳死に伴う臓器移植に疑問を投げかける形で物語は終わっている。それが本当に筆者の一番伝えたかったことだとしたら、もう少し違った物語でも良かったのではないか、と思ってしまった。
 じわじわと人格が変貌していく様は読んでいてこちらも恐怖を感じるものがあった。しかし、それだけだった。
 あまり多くを語る必要はないな、と読み終わったあとに思った。なので、珍しく短い感想文になるが許して欲しい。わたしにとっては攻撃的な主人公の変貌後の人格などがネックとなって、あまり楽しめる小説ではなかったのだ。