20 猫鳴り
- 作者: 沼田 まほかる,ヌマタ マホカル
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2010/09/16
- メディア: 文庫
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モンと名付けられた猫が拾われてから老衰で死んでしまうまでのモンにまつわる人間の物語に、わたしは気付けば虜になっていた。第二部ではモンはそれほど多く登場しないにも関わらず、その存在感だけははっきりと主張していた。第三部では、モンの闘病生活をそのまま自分の死の予感と重ねている藤治の姿を更に自分のこれからに重ねている自分がいた。
死に関する物語では思わず泣いてしまうことが多いわたしだったが、この物語は涙ひとつ流すことなく読むことが出来た。解説で豊崎由美さんが述べているように、最後の瞬間まで「生きる」モンに敬意を表すべきだと思ったからだ。
最後まで恐れることなくただ死を受容していたモン。わたしもそんな風に終わりを迎えたい。わたしがその生涯を終えたあと、周囲の人達にそっとわたしの余韻を抱き締めて貰えるような、そんな死に方が出来ればいいなと思う。