21 ビブリア古書堂の事件手帖 〜栞子さんと奇妙な客人たち〜

 一時期、本が全く読めない時期があった。わたしは幼少の頃から本が好きで中学校では多読賞を貰うほどの本好きだった。そんなわたしが、ある日を堺に一冊も本が読めなくなってしまったのだ。原因は高校の現代国語の先生の一言だったのだが、その事件についてはまた別の機会に話すことにしよう。とにかく、わたしには本が読みたくても読めないという時期があった。そしてそのことがこの本を読み、物語へ没頭するのに、非常に大きな鍵となった。
 この物語は北鎌倉の古本屋で色々な事件が古本を巡って起こり、それを古本屋のオーナーである栞子さんと主人公とで解決していく本にまつわる推理小説だ。本を題材に扱っており、そのかなり詳しい内容も事件解決への糸口として使用されている。本の中で本の話が繰り広げられるという、本好きにはたまらない一冊となっている。
 しかしそんな本のための物語の主人公は、本が好きだが体質により本が読めないという設定になっている。主人公の体質は過去のトラウマにより生じたものだが、わたしも冒頭に書いた通り、本が好きだがどうしても本が読めない時期があったので、同じような境遇の主人公にかなり共感してしまった。
 今わたしはこうして読書ブログを書いているが、なかなかその更新頻度があげられない理由のひとつに、まだ完全に「読めない時期」から立ち直っていないということが挙げられる。なかなか読めないきっかけとなったトラウマを払拭するのは難しく、少しずつリハビリをするつもりでこうして読書の記録をつけているのだ。
 しかし、この物語はすらすらと読めた。続きが気になって仕方がなくて早くページを捲りたいという気持ちを抑えるのに一生懸命だった。それは、主人公の境遇に同調した部分もあるし、この物語が本当に面白く素晴らしい作品だからだと思う。これほどまでに夢中で本を読んだのはいつぶりだろうか。わたしは久しぶりに読書の喜びを心から感じた。
 これは、もしかしたら、わたしはトラウマを払拭出来たのではないだろうか? 昔のように、たくさんの本を読むことが再び可能になるのではないだろうか? そう思わずにはいられない。
 そんなわたしの読書復帰のきっかけとなったこの物語には本当に感謝している。これからは一冊でも多くの本を読んでその面白さを皆様に伝えていきたいと思っている。これからの更新に期待して頂ければ嬉しい限りだ。