31 人魚姫のくつ
- 作者: 野中柊
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1997/12
- メディア: 文庫
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そこまで自由にしていて許される主人公を怖いと思う人もいるだろう。わからないという人もいるだろう。けれども、わたしはなんだか自分のことのように思えてしまって、親近感が湧いた。
わたしも子供が出来たって、常に恋はしていたい。それが例え恋じゃなかったとしても。何かに夢中になることをやめるなんで出来ない。それは自分本位な考え方かもしれない。けど、後悔なんてしたくないから、いつだって自分に正直に思うままに生きるだけなのだ。そしてそれは幸せでありながらも、何処か虚空を孕んでいるものなのかもしれない。
文章としては、流れるような場面転換が見事だった。また、夢見心地な文体と、上品な言葉遊びが印象的だった。タイトルも上手い、と思わず唸ってしまった。色々見習いたい部分の多い小説だった。